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JCTNについて

日本の臨床試験の質向上と手順の標準化をめざして

JCTN共通ガイドラインについて

JCTN共通ガイドラインは、臨床試験における有害事象報告、中央モニタリング、施設訪問監査の実施手順の標準化を目指して、6つの多施設共同臨床試験グループによって作成されました。多数の多施設共同臨床試験グループにより多くの臨床試験が実施されているなかで、研究の質を一定水準以上に保つことを目的としています。ガイドラインの利用には制限を設けていませんので、多くの方々にご利用いただければ幸いです。

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JCTN共通ガイドライン作成の経緯(ガイドライン序文より)

本ガイドラインは、国立がん研究センター研究開発費26-A-22「共同研究グループ間およびがん診療連携拠点病院間の連携によるがん治療開発研究の効率化と質的向上のための研究」班(主任研究者:福田治彦)のデータセンター連携小班(小班長:中村健一)において検討を行い、各グループの承認を経て発効したものである。この小班のミッションは、多施設共同臨床試験グループの中央支援機構の業務実施手順の情報共有および標準化であり、2008年よりがん研究助成金研究班20指-6として各グループにおける試験実施体制や各種の手順の情報交換を行ってきた。2013年からはがん研究開発費23-A-16として単なる情報共有のみならず、実施手順の標準化を図る試みを開始し、今回、有害事象報告、中央モニタリング、施設訪問監査の実施手順についてのコンセンサスをまとめ、6グループ共通のガイドラインとして公表することとなった。それにあわせて、26-A-22データセンター連携小班を構成するJapan Adult Leukemia Study Group(JALSG)、Japan Clinical Oncology Group(JCOG)、Japan Clinical Research Support Unit(J-CRSU)、Japanese Gynecologic Oncology Group(JGOG)、Japan Children’s Cancer Group(JCCG)、West Japan Oncology Group(WJOG)の6グループを包括してJapanese Cancer Trial Network(JCTN)と称することとし、本ガイドラインの略称を「JCTN-モニタリングガイドライン」とした。
米国ではNational Cancer Institute(NCI)ががんの多施設共同試験グループを監視・支援する体制がとられており、NCI主導で各グループ共通の登録システム、Electronic Data Capture(EDC)システム、有害事象報告システム、監査報告システムが既に導入されている。これらのシステムの標準化には研究者および中央支援機構の手間の軽減のみならず、臨床試験の質の担保、データの互換性、共同試験の促進といった数多くのメリットが存在する。 近年、日本からも研究者主導の多施設共同試験のエビデンスが数多く発信されるようになってきたが、日本の各臨床試験グループにおける試験実施手順には相違点が多く、複数の臨床試験グループに参加する研究者に不要な手間を強いることとなっていた。実施手順の標準化には様々なメリットが存在することは多くの関係者も認識するところであるが、現在日本にはNCIのような臨床試験グループを統括・支援する機関は存在しないため、これらの標準化は各臨床試験グループが自発的に進める必要がある。本ガイドラインが、作成に携わった6グループのみならず、日本における他の臨床試験グループでも活用されることで、日本の研究者主導臨床試験の標準化が進み、臨床試験の質の向上、共同試験の推進につながることを期待する。

第1回改訂(Ver1.1)に際して
2018年4月1日に「臨床研究法」が施行された。モニタリングについては従来の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」からの本質的な変更はなく、多施設共同研究の場合には中央モニタリングという手法を選択しても差し支えないことが課長通知(医政経発0228第1号)でも記載されている。今後JCTNを構成する臨床試験グループでは、「臨床研究法」に従った臨床研究が多く行われることから、本JCTNモニタリングガイドラインも、「臨床研究法」の規定にあわせた記載整備を行うよう改訂を行った。
改訂の内容についてはJCTNを構成する5グループ*の事務局メンバーにより検討がなされ、各グループの意思決定機関の承認を経て2019年3月1日に発効された。
*データセンター連携小班を構成する5グループ:
Japan Adult Leukemia Study Group(JALSG)、Japan Children’s Cancer Group,(JCCG 旧:JPLSG)、Japan Clinical Oncology Group(JCOG)、Japanese Gynecologic Oncology Group(JGOG)、West Japan Oncology Group(WJOG)
(JPLSGはJCCGへ統合されたため、JCTNにはJCCGとして参加することとなった。J-CRSUは組織再編に伴い、JCTNへはオブザーバー参加することとなった。)

*共通ガイドラインの策定の動機と、標準化・効率化・情報共有のための取り組み、各ガイドラインの概要が記された論文をライフサイエンス出版株式会社 および 日本臨床試験学会 のご厚意により当ウェブサイトに転載させていただきました。研究者の自己学習を目的とした使用に限り許可をいただいております。
PDFがんの多施設共同研究グループによる共通ガイドライン(モニタリング・監査・有害事象報告)
中村健一 ほか. 薬理と治療. 43 (Suppl.1) : s36-s43. 2015

■本ガイドラインの利用について

本ガイドラインはJCTNに所属していない臨床試験グループでも活用されることを期待しています。各グループの責任のもと、グループ内の実施手順を規定する際に参照することや、付表(有害事象報告書、モニタリングテンプレート、監査項目と評価規準、監査結果報告書)を適宜改変して用いることについては、特に許諾を要さず利用可能です。ただし、著作物に引用される場合には引用であることを明記し、転載される場合にはお問い合わせページからご連絡ください。